暑い夏でも着物は楽しめる!着慣れた人から学ぶ夏着物のコツ
2020.8.20
着物
以前に比べ、近年は京都や浅草のような観光地で着物を着ている人を見かけることが多くなりました。それは着物レンタルのサービスが増えたことで、誰もが気軽に着物を楽しめるようになったからです。しかし夏に着物は暑く、楽しめないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は暑い夏でも着物を楽しむために、着物を選ぶポイントや夏着物のコツについてお伝えいたします。夏でも観光地やイベントで着物を着たい方や、暑い夏でも快適に着物を着用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
夏に着る着物はどんなもの?
着物には「袷」「単衣」「薄物」の3種類があり、季節に合わせて着用するのがマナーとされてきました。しかし特に夏は年々高気温になっていることもあり、臨機応変に着用するようになってきています。まずは夏に着用するとされる「単衣」と「薄物」についてお伝えしていきます。
単衣
一般的によく着られる袷に対して単衣は裏地がなく、季節の変わり目である6月・9月に着用される着物です。しかし、夏場でなくても暑い4月下旬〜5月や、夏でも涼しい室内にいることが多い場合などで単衣を着用しても問題ありません。裏地がないため透け感があり、透け防止として長襦袢を下に着用します。
薄物
薄物は単衣よりさらに薄い素材の透け感がある着物です。7〜8月の盛夏に着用する着物ですが、浴衣とはまた別物。素材の糸の密度が粗いため通気性が良い点が特徴です。また薄物は素材の特徴が異なる3つの種類に分けられています。
絽(ろ)
搦み織の一種で、盛夏用染め生地の絹織物。
紗(しゃ)
絽と同じ搦み織の一種で、もみじ織とも呼ばれる染色織物の1つ。
上布(じょうふ)
良質な麻織着尺地で、苧麻の手紬糸やラミー糸のような細糸で綿密に織られたもの全般が上布と呼ばれる。
夏着物を選ぶ際の4つのポイント
着物は季節に合わせて素材や色柄、小物までをもこだわるファッションです。ここでは夏着物を選ぶ際の4つのポイントについてお伝えいたします。
気温に合わせて臨機応変に選ぼう
まずは着物を着用する日の気温や場所に合わせて、単衣か薄物かを選びましょう。暑い日に外で着用する場合は通気性の良い薄物が良いでしょう。しかし外にいる時間が短く、冷房の効いた涼しい室内にいることが多い場合は、寒すぎないように単衣がおすすめです。
従来よりも日中の気温が高くなり、冷房設備が進化したことで、気温や場所に合わせて臨機応変に着物を選ぶことが一般的となってきました。
夏に最適な着物の色柄を意識しよう
着物は四季に合わせて色柄を決めるのがマナーで、季節を先取りするのが良いとされています。柄を例にとると6月であれば紫陽花のシーズンですが、一足先の夏の花である朝顔柄の着物が良いでしょう。また8月の下旬には秋を先取りしたトンボや楓の柄もおすすめです。
さらに風物詩にこだわらずに、雪輪のような冬っぽさを演出するモチーフで涼を演出することもあります。
そして色は暑さを緩和させるような涼しい印象が与えられるものがおすすめです。可愛らしさやポップさを出したい場合は寒色やシャーベットカラー、美しさや高級感を出したい場合はモノトーンの着物も最適でしょう。
帯は夏用を選ぼう
単衣や薄物のように透け感のある夏用着物を着用する時は、帯も合わせて透け感のある夏帯を選びましょう。帯は夏帯と冬帯の2種類があり、夏以外は冬帯を合わせます。また帯にも草木などの柄があるので着物の色柄に合わせたものを選ぶと、着物の美しさを際立たせてくれます。
着物に合わせて小物も工夫しよう
メインとなる着物や帯以外にも、小物がいくつかあります。例えば、薄物と同じ絽や紗の透け感のある帯揚げ、レース素材の帯締めなどは涼の印象にアクセントをつけられます。また帯留めもトンボ玉やガラス素材の装飾が付いているものをつけると良いでしょう。これらの装飾はかんざしに取り入れるのもおすすめです。
他にもバッグも麻素材のものやカゴバッグにすると、より夏っぽさが出ます。そして履物も通気性の良いものを選ぶと快適です。カジュアルなシーンではパナマやラフィアのような通気性の良い素材、フォーマルなシーンでは絽や紗の上品な草履が良いでしょう。
暑い夏も快適に着物を着よう!夏着物の4つのコツ
年々暑さが増しているため、着物を着るためにもコツが必要です。暑い中無理して着てしまうと、熱中症になってしまう恐れもあります。快適に、そして安全に着物を楽しむためにも、ぜひコツを押さえてみてください。
①着付けは涼しい場所で
1つ目のコツは、着付けを涼しい場所で行うことです。着物は着付けの手間がかかることもあり、着ている最中に汗をかきやすいです。汗をかいた状態で着付けを完了させてしまうと、湿気や熱が着物のなかにこもり、なかなか抜けなくなってしまいます。
そしてそのまま外を出歩くと体も熱を帯びた状態になってしまうため、熱中症の危険性も高まってしまうでしょう。さらに汗ばんだ状態で着付けてしまうと、着崩れの原因ともなりえます。
そのため着物の着付けは通常よりも冷房温度を下げた涼しい場所で行いましょう。その際の温度は20度前後の設定がおすすめです。自宅で着付ける場合はあらかじめ部屋を涼しくしておき、お店で着付ける場合は余裕を持って到着しておいて汗を引かせておきましょう。
②事前に汗予防
2つ目のコツは、事前に汗予防をすることです。ワキなどの特に汗をかきやすい部位は、汗ブロック効果のある制汗剤を利用すると良いでしょう。
色味の薄い着物の場合は、襟やワキ部分の汗染みも目立ちやすくなってしまいます。せっかくの着物も汗染みができてしまうと、見栄えが台無しです。そのため可能な限り、事前に可能な汗予防をしてみてください。
③タオル補正の工夫
3つ目のコツは、タオル補正を工夫することです。着物の補正にタオルは欠かせないアイテムです。バストやウエストに巻きつけることで体のラインの凹凸を無くし、美しい着こなしにするために使用するもの。
実はこのタオル補正を工夫することで、暑さと汗対策ができるのです。補正する部分ともなる胸元やウエストも、汗をかきやすい部位です。そのため補正と同時に、暑さ・汗対策をしましょう。
この時におすすめなのは、薄手のガーゼタオルを使うことです。さらに補正部分のタオルには小さめの保冷剤を挟むと、快適に着物が着用できます。この時は固形の保冷剤よりも、ジェル状のものの方が目立ちにくいためおすすめです。
④小物を活用して暑さ対策
4つ目のコツは、小物を活用して暑さ対策することです。扇子や日傘のような小物は着物にもマッチします。特に扇子は和のデザインが中心なので、おしゃれのワンポイントとしても最適です。扇子は普段使いもできるため、自前のものを持っていても良いでしょう。
そして日傘は暑さ対策に効果抜群の小物。ものによっては体感温度を10度ほど下げる効果もあるほどです。日傘もさまざまな種類があり、着物に合わせて最適な色や柄のものを合わせてみましょう。
まとめ
今回は暑い夏でも着物を楽しむために夏着物の知識や選び方のポイント、そして夏着物を快適に着るためのコツについてお伝えいたしました。暑い夏でも正しい選び方、暑さ対策の工夫をすれば着物が楽しめます。ぜひ観光地やイベントで、日本伝統の着物を楽しんでみてください。
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こちらの記事を書いたのは 正装用着物専門店 レンタルきもの岡本
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