暖かくなってくる5月、着物の羽織の着用時期はいつまで?
2020.4.21
着物
羽織は防寒具のようなイメージがありますが、お洋服で言うところのカーディガンのようなもので、室内でも着用できるので便利なアウターです。羽織はもともと男性着で、女性が着用しだしたのは明治時代です。特に女性の場合、羽織はお洒落着的な要素も強く、歴史も短いので、時代とともに着用方法も変わってきています。
着物の防寒着としての羽織は、冬季はもちろん、暖かい季節でも室内の冷房対策としても着用できて便利です。着物は格や季節感を大切にする装いであるため、羽織の着用にシーズンの決まり事があるのかなど、気になる方もいると思います。
ここでは、女性用の羽織を中心に着用時期や、シーン・季節にふさわしい羽織の選び方、おすすめのコーディネートをご紹介します。どんな羽織を選べば良いか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
カジュアルなお出掛けにぴったりな羽織
羽織は着物の上に着るアウターの1つで、洋服で例えるとジャケットやカーディガンにあたります。裾まである衿を外側に折り返した形が特徴。基本的にはおしゃれ着とされているため、カジュアルなお出掛けに適しています。
前面には胸元が開かないように留めるための羽織紐が付いています。結び方や装飾で違った雰囲気を楽しめるのも魅力。また、羽裏と呼ばれる裏地には、大胆なデザインや個性的な柄を選ぶことで、見えないおしゃれが楽しめます。
なお、紋付の羽織であれば女性用の場合略礼装として着ることも可能です。男性用の五つ紋紋付の羽織袴(黒紋付)は第一礼装になります。第一礼装を着るのは結婚式の新郎、その父親、成人式や卒業式といった式典など限られた場になります。
羽織の着用時期は?
着物は季節にあわせて、袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、薄物(うすもの)の3種類を着分けることが一般的です。羽織も同じように最適な着用時期があり、袷の羽織は、紅葉の色付く秋から桜が散る春まで、暖かくなってくる5月以降は、単衣や薄物の羽織がおすすめです。
羽織は防寒対策や、着物の汚れを防ぐだけでなく、おしゃれのポイントにもなります。暖かい季節は、屋外と室内の気温差が気になる場合もありますので、お出掛けの際にあるととても便利です。
また着用時期はあくまで目安ですので、気候や体調にあわせてご自身にぴったりの羽織を選びましょう。
羽織と道行の違い
道行は礼装にも普段のお出掛けにも着用できる外出用のコートで、衿元が額のように四角く開いているのが特徴です。幅広いシーンで活躍するので、1枚持っていると重宝します。着用シーンにあわせた色柄を選びましょう。また羽織と違い外出用のコートであるため、屋内に入る前に必ず脱ぐことがマナーですので、その点は注意が必要です。
羽織の着用マナー
洋服のジャケットやカーディガンにあたる羽織は、室内でも着用できます。そのため、美術鑑賞や観劇など、主に屋内で過ごすカジュアルなお出掛けに最適です。ただし、フォーマルなシーンやお茶会では脱ぐことがマナーですので注意しましょう。
また、羽織の丈は流行によって長さが変わりますが、一般的に短いほどカジュアルな印象になるので着用シーンにあった丈を選びましょう。羽織は着こなしのアクセントにもなるため、なりたい雰囲気にあわせた色柄選びがおすすめです。
羽織の着方は衿の扱いがポイント
女性の羽織を着る際に、衿の扱いに悩む方は多いのではないでしょうか。2つのポイントをおさえて適切に着こなせば、上品な雰囲気を演出できます。
羽織は、着物の衿のカーブに添うように、肩から後ろの部分だけを外側に半分折って着用します。着物が衿に隠れてしまうと、後ろ姿が不格好になるので気を付けましょう。また、肩口から下は、衿幅分を自然に外側へ折ります。
脱ぐ際は、衿を少し後ろにずらして、片方の手で両袖口を持って一緒に引きます。羽織を前に回して、もう片方の手で、両肩山を合わせて持てばそのままたためます。気品を損なわないよう、後ろ向きで脱ぐのがおすすめです。
着方はもちろんですが、脱ぎ方も意識することで、より上品な印象を与えてくれますので、しっかりとおさえておきましょう。
季節や着用シーンにあわせて選ぶ
最近は着物の着方もかなり自由になってきました。しかしある程度は着物の格式やルールを尊重して着ることによって、あなたの格も上がります。そこで羽織の着用マナーについて触れておきます。
気候にふさわしい素材が最適
一般的な袷の羽織は、10月から4月頃までが主な着用時期とされています。5月から9月頃までの気温が高い時期は、レースや、紗などで織られた薄手の生地の羽織がおすすめです。冷房対策だけでなく、着こなしのアクセントにもなります。また、裏地の付いていない単衣の羽織もおすすめです。単衣の羽織は単衣の上から羽織ります。
紋付きなら格上げができる
羽織は基本的にカジュアルなシーンで着用します。そのため、結婚式や成人式といったフォーマルなシーンには適していません。礼装がふさわしいシーンでの着用は控えましょう。女性用の黒の絵羽織や紋付きの羽織であれば、準礼装にあたります。紋付きのものを羽織るだけで、着物の格を準礼装に上げることができるため、1枚持っていると非常に便利です。
以前は入学式や卒業式などの式典に小紋の上に着用して出席するのがブームでしたが最近ではあまり見受けられません。
着物×羽織のおすすめコーディネート5つ
羽織は、防寒や着物の汚れを防ぐためだけでなく、着物のおしゃれを楽しむアイテムでもあります。羽織はカジュアル着であるため、あわせる着物は洋服の普段着に当たる色無地や小紋などが最適です。着物と羽織のコーディネートは、色柄によって印象が大きく変わります。たとえば、シンプルな着物に季節の柄の羽織をあわせると、華やかさと季節感をプラスできます。着用シーンやなりたい雰囲気にあわせて、ふさわしい色柄を選びましょう。
ここでは、着物と羽織のおすすめコーディネートをご紹介します。
フォーマルなシーンには黒羽織
小紋などの、カジュアルでおしゃれな着物も、女性用の紋付きの黒羽織をあわせることで格上げができます。どんな色柄の着物にもマッチし、品格のある着こなしができる万能アイテムです。また、絵羽織は女性の羽織で、絵羽模様のついたものです。訪問・外出用に用いられ、気品のある華やかな印象を与えてくれます。
シンプルな色柄で上品な着こなし
落ち着いた印象の色無地の着物には、シンプルな色柄の羽織をあわせることで、かしこまりすぎず上品な着こなしができます。ワンポイントの柄や、レースの羽織をあわせて、華やかさをプラスするのがおすすめ。また、羽裏にこだわりの柄を選べば、見えないおしゃれも楽しめます。観劇や美術鑑賞などのお出掛けにぴったりです。
爽やかな色と素材で春夏コーデ
着物はコーディネートに季節感を取り入れるのがおしゃれです。5月から9月頃の暖かな季節では、レースの羽織や淡い色合いのものを選ぶと、季節感のあるコーディネートに仕上がります。柄物の着物には無地の羽織をあわせるなど、メリハリをつけた着こなしが最適です。
羽裏を楽しむ
羽裏とは滑りを良くするために羽織につける裏地のことで、羽織裏とも呼ばれます。羽織はコートと違って外出先でも脱ぐ必要がないため、羽裏のおしゃれを楽しむ上級者もいます。裏地なので気に入った友禅や小紋の着物柄も選べて個性的な羽織になります。
柄×柄でおしゃれ上級者
街の散策には、柄物の着物と羽織をあわせた個性的なコーディネートがおすすめです。洋服では難しい組み合わせも、着物であれば気軽にチャレンジできます。存在感のあるコーディネートは、おしゃれ上級者の着こなし。華やかな雰囲気をまとって、お出掛けをより一層楽しみましょう。
まとめ
ここでは、女性用羽織の着用時期や、季節やシーンに最適なコーディネートをご紹介しました。羽織は、体温調節や汚れを防ぐ目的以外にも、おしゃれを楽しむアイテムでもあります。そのため、着物でお出掛けする際には、羽織があると非常に便利です。同じ着物でも羽織の色柄によって、雰囲気は大きく変わりますので、着用シーンや気分にあわせて着物のおしゃれが楽しめます。
レンタルきもの岡本であれば、お好みの着物で気軽にお出掛けができるだけでなく、お手入れも不要。普段は着物をあまり着ない方も、お出掛けにぴったりな季節にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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こちらの記事を書いたのは 正装用着物専門店 レンタルきもの岡本
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