着物の基礎知識~着物の格とマナー
2021.1.15
着物
日本の伝統服である着物の着用時には、格やマナーの知識を押さえておくことが大切です。現在は着物を普段着として着用することは少なくなりました。しかし成人式や卒業式などのイベント、旅行先などで着る機会がある方もいらっしゃるでしょう。
なかでも冠婚葬祭や卒業式などの式典では、日本の伝統的な服装である着物を着用する方が多い傾向にあります。そこで今回は着物の基礎知識として押さえておくべき、格とマナーについてご紹介します。
着物の格とは?4つの格を解説
一括りに着物といっても多種多様です。着物を着用する際に覚えておきたい言葉に、「格」があります。着物を着用する、時と場所ごとに分類したものを「格」と言います。冠婚葬祭や行事によってドレスやスーツ、洋服を着分けることと同様です。ここでは着物における格についてお伝えします。
①礼装
1番高い格の着物であり、公的行事や特別なイベントの際に着用します。なかでも冠婚葬祭で着用されることが多く、着物といえば成人式の振袖に次いで、礼装をイメージする方も多いかもしれません。数ある着物の中でも、礼装は正しく着用することが求められます。
②準礼装
礼装に次いで格が高い着物が準礼装。別名略式礼装とも呼ばれています。入学式のような行事や、フォーマルな場で着用されます。また特徴としては色柄が華やかな点が挙げられます。
③盛装(外出着)
主にイベントやパーティーのような煌びやかで華やかな場面で使用されるケースが多いです。格式高いものから普段着にできるものまで幅広く活用できる着物です。
④普段着(街着)
軽装として利用されるケースが多く、その名の通り普段使いする着物です。また冠婚葬祭をはじめとしたフォーマルな場での着用はふさわしくありませんので、注意が必要です。
格ごとの着物の種類
ご紹介してきたように、一口に着物と言っても格ごとに礼服から普段着まで、さまざまな種類が存在します。ここからは格ごとに、さらに着物を分類してご紹介していきます。
礼装の着物
礼装を着用すべき際には、格を意識して着物を選びましょう。また女性は未婚・既婚によっても異なるため、着物の種類を正しく押さえましょう。
打掛
打掛は全身を白に統一した着物であり、「白無垢」とも呼ばれる花嫁衣装です。未婚女性の第一礼装であるため、独身最後となる結婚式には打掛で参列します。挙式は白無垢が最適ですが、披露宴やお直しでは色柄が鮮やかな色打掛も着用されます。
黒留袖
黒留袖は既婚女性の礼装にあたる着物です。結婚式でいえば新郎新婦の母や親族が身につけます。柄の種類は幅広いため、年齢に応じて最適なものを選びましょう。
本振袖
打掛と同様の特徴がある、未婚女性のための礼装。打掛よりも動きやすく、本振袖は振袖のなかでも「大振袖」となります。
喪服
喪服はお葬式で着用する礼装です。黒一色・五つ紋のものが礼装にあたります。
準礼装の着物
準礼装は入学式をはじめとする節目のイベントに主に使用されます。フォーマルな場でも着物のマナーは重視されるため、それぞれの特徴を押さえてみてください。
色留袖
黒以外の色をした袖模様がついており、既婚・未婚にかかわらず着用可能です。また三つ紋であればフォーマルな場面で使用されています。
訪問着
縫い目に沿って施されている着物です。また婚礼や重要な茶会などの場面で訪問着を着る際には、一つ紋をつけるとTPOに相応しい着こなしになります。
付け下げ
訪問着のように縫い目に柄が行き渡らない点が特徴。また着物全体が1つの絵となる柄が施されている点が特徴で、鮮やさが魅力です。
振袖
未婚女性の準礼装として使用されるのが振袖で、着物といえば振袖を思い浮かべる方も多いでしょう。礼装の振袖は「大振袖」ですが、準礼装の振袖は「中振袖」、「小振袖」となります。そのため結婚式やパーティーのような華やかな場では中振袖、よりカジュアルな場では小振袖が最適です。
色無地
柄のない着物で、黒以外の着物です。色無地自体の格はそこまで高くありませんが、格のある帯を合わせれば準礼装になる点が特徴。礼装として使う場合には五つ紋をつけることもあります。
盛装(外出着)の着物
これまでご紹介したものよりも、おしゃれさを重視してカジュアルに着用できる着物です。
付け下げ小紋
前後どちらからみても、柄付けが必ず上を向いている付け下げを小紋柄に染めた着物です。
小紋友禅
友禅とはもっとも有名な着物の染色の1つです。手描きや型で染められているものや、最近ではプリントされたものも友禅として分類されています。
小紋
全体に細かい模様が入っている着物で、普段着として着用します。またさまざまな種類の柄があります。そのためTPOに合わせて模様の格を考慮する必要があります。
普段着(街着)の着物
普段着は盛装よりもさらに気軽に着用できる着物です。
浴衣
浴衣は着物の中でも身近で、最もカジュアルな着物の1つで、着用したことのある方も多いでしょう。花火大会のようなカジュアルなイベントから自宅用にも着用できる、幅広い用途の着物です。
紬
先染め織物の着物で、お稽古や食事をはじめとする気軽な外出の際に着用されています。
絣(かすり)
かすったように織られた染め文様が特徴で、紬と同じようにお稽古や食事の際に着用されることの多い着物です。
ウール・木綿
ウールや木綿は、洋服と同じような着なれた素材です。ウールは丈夫な素材、木綿は洗濯可能で手入れが簡単な素材で、着物にも使用されます。
美しく正しく着物を着こなすためのマナー
日本の伝統でもある着物は、美しいだけでなくマナーを押さえて正しく着用することが大切です。ここでは着物着用時に意識すべき、2つのマナーについてお伝えします。
TPOに合わせて正しい格の着物を着用する
上記でご紹介したようにTPOに合わせて、該当する格の着物を選ぶことが重要です。さらに格だけでなく、着物の絵柄も場所にふさわしいものを選ぶことがポイント。応用として帯をはじめとする小物にも格があるため、着物とセットで選べるとなお良いでしょう。
着物着用時の所作を意識する
現代では普段から着物を着用することは少ないため、着物着用時の所作はわからない点も多いでしょう。着物のマナーとして、所作を意識することも大切なポイントです。美しい所作は、着物姿も美しく見せてくれます。事前に立ち居振る舞いについて調べておくとよいでしょう。
歩行時の所作
着物着用時は着崩れを防ぐためにも、歩幅を小さくして内股で歩きましょう。その際は姿勢を正して、履物を引きづらないように歩くことがポイントです。
着席時の所作
椅子に座る際には帯を潰さないよう、浅めに腰掛けます。袖は下にたらさず、膝の上に重ねましょう。正座の場合は着席時に膝あたりの裾を浅ながら、順に膝をついて着席します。座っている間、裾は軽く左右や後ろに流し、両手を膝の上で重ねましょう。
階段を登る際の所作
階段を登る際は右の上前を持ち、軽く腰を落とします。袖が長い場合には、まとめて左腕にかけると歩きやすくなります。
物を取る際の所作
物を取る際は片方の手で袖を押さえ、ゆっくりと動きましょう。袖口は物をひっかけやすいため、細心の注意を払いましょう。
まとめ
今回は着物の基礎知識である、格とマナーについてご紹介しました。結婚式をはじめ重要な行事やフォーマルな場では、特に格とマナーが重視されます。1つの格の中にも、さまざまな着物の種類があるので、今回ご紹介した内容を参考にしてください。
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こちらの記事を書いたのは 正装用着物専門店 レンタルきもの岡本
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