【着物と季節の関係】袷・単衣・薄物それぞれの特徴と着用時期を解説
2021.6.6
着物
何百年も前から着用されてきた日本の伝統服である着物。時代や文化の変化とともに着物の着こなしは変容していますが、現代でも普段着として、または晴れ着や特別な日の正装として親しまれています。
また、季節感が大切とされる着物ですが、魅力を最大限引き出すためにも、まずは着物と季節の関係を知ることが大切です。そこで今回は着物の着こなしを楽しむための知識として、着物と季節の関係についてご紹介します。
季節に合わせて着分ける3種類の着物の特徴と着用時期
四季が明確である日本では、古くから衣替えの習慣が根付いています。そのため着物は衣替えの風習を念頭に大切にされており、着物の素材は季節によって着分けることが基本的なルールとされています。季節ごとに着分ける3種類の着物の特徴と着用時期をご紹介します。
【袷】
袷は裏地がついている着物で、1年を通して着用できる着物です。裏地のある2枚仕立てなので冬でも問題なく寒さをしのげますが、夏は熱がこもりやすいためあまりおすすめできません。そのため主な着用時期は、10〜5月とされています。
袷は、着物特有の重厚感があるのが特徴です。オールシーズン着用する方も多いことからデザインも豊富であり、最も一般的な着物として認識されています。成人式で着用される振袖や、結婚式などのイベント時に着用される格の高い着物は基本的に袷です。普段使いもでき、格のある着こなしもできることから、1着は持っておくと幅広いシーンで活躍してくれます。
【単衣】
表生地は袷と同様ですが、裏地のない着物が単衣です。着用時期は、主に季節の変わり目である6月・9月とされています。しかしそれ以外の時期でも、気候に合わせて単衣を着用しても問題ありません。
1枚生地なので風通しが良く軽く着こなせる点が特徴です。単衣でも袷のように着物の線をはっきりと美しく見せたい場合には、着物の下に長襦袢を着用しましょう。
【薄物(夏物)】
薄物は裏地のない、単衣よりも通気性が良い透け感のある夏用の着物です。夏本番の7月と8月に着用されます。「絽」「紗」「上布」などさまざまな生地で仕立てられ、一般的に薄物と呼ばれる着物の多くは絽です。
絽は、フォーマルな場でも着用できる生地のため、夏にあるフォーマルな行事に参加する場合におすすめです。紗はセミフォーマルまたはカジュアル向きであり、高級な麻織物である上布は、ちょっとしたお出かけなどで着用するカジュアル向きの着物とされています。
薄物だと暑い夏でも快適に着物を着用できますが、透け感が強いため、長襦袢を着用したり色柄を工夫することがポイントです。
絶対に季節に合わせて着分けないとダメなのか
季節に合わせて正しく着分けることで、粋な着こなしが叶います。しかし着用時期は目安であるため、ある程度はその日の気候に合わせて選んで問題ありません。特に近年は気候変動も激しく、春や秋でも夏のように暑かったり、春先でも冬のように冷える日があったりするのは珍しくありません。
明らかに季節外れとなる着こなしではない限り、自由に選んでもマナー違反にはなりません。ただしフォーマルな場では、季節に合わせて正しく着分けることをおすすめします。
帯や小物も季節によって使い分ける?
着物の着こなしは、袷・単衣・薄物以外にも帯や小物が揃って完成するものです。これらは季節に合わせるものとそうでないものがあるため、以下の表を参考に区別しましょう。
【季節に合わせるもの】
・帯
・帯揚げ
・長襦袢
【季節に合わせなくてよいもの】
・帯締め
・履物
・足袋
・下駄
季節に合わせるものは、主に夏用とそれ以外に分かれており、見分けるポイントは透け感となります。
夏帯と冬帯
夏帯は6〜9月を目安に使用される、単衣と薄物に合わせる帯です。透け感があり、絽や紗、麻などが使用されているため通気性の良さが特徴です。
一方、冬帯は透け感がないため、存在感が演出できます。デザインも豊富であり、季節を表す草花が描かれていることも多いことから、季節に合わせて柄が選べるようになると粋な着こなしができます。
夏用と夏用以外の帯揚げ
帯揚げも同様に、夏用とそれ以外の季節用で分かれています。そのため帯と帯揚げは、セットで衣替えすることを覚えておきましょう。
帯揚げも透け感の有無が異なる点です。夏用の帯揚げは絽や紗の生地を使用しており、夏用以外は一般的に縮緬や綸子が使用されています。
夏用と夏以外の長襦袢
長襦袢も見分けがつきやすく、裏地の有無で区別できます。また夏以外の長襦袢は、色柄があるものが多い点も特徴です。夏用の長襦袢は「単衣仕立て」、それ以外は「無双袖」と呼ばれることも覚えておきましょう。
通年使えるアイテムは着物に合わせてセレクト
通年使えるアイテムは衣替えが必要ないため、着物に合わせて自由にコーディネートしましょう。小物もデザインや色味のバリエーションが豊かなので、着物と同様に季節に合わせてセレクトするとおしゃれな着こなしができます。
季節ごとにみる!着物のおすすめ色柄
生地や素材、小物に加えて、着物の醍醐味ともなる色柄も季節に合わせて選んでみましょう。ここでは季節ごとにおすすめの着物の色柄をご紹介します。
春の着物のおすすめ色柄
春といえば桜や新しい門出など、明るいイメージの季節です。そのため着物は淡いパステルカラーやピンク、新緑を表す若葉色がおすすめです。桜をイメージしたカラーは、桜の開花前から着用して問題ありません。
そして桜の時期が終わる頃には、若葉色や藤色を取り入れてみてください。春におすすめの柄は、桜や桃、牡丹や藤など。桜は満開の時期よりも、その少し前までの着用が望ましいでしょう。
夏の着物のおすすめ色柄
暑さの厳しい夏は、清涼感の感じられる色柄を選ぶことがポイントです。そのため着物の色は青系やパステルカラーよりも彩度の低いペールカラー、モノトーンが良いでしょう。かわいらしさを演出したい場合にはペールカラー、凛とした上品さを演出したい場合にはモノトーンがおすすめです。
柄は夏の草花である紫陽花、朝顔、竹、笹、清涼感のある雪輪や波がよく似合います。8月下旬や9月頭は、秋の先取りでとんぼや楓を取り入れても良いですね。
秋の着物のおすすめ色柄
9月23日前後のお彼岸を過ぎたあたりからは、秋らしい色柄を取り入れてみましょう。秋は紅葉をイメージした赤・黄・茶をベースに、深みのあるえんじ色やからし色、橙色がおすすめです。柄は秋の風物詩である紅葉をはじめ、撫子や山茶花、撫子や桔梗などがあります。
冬の着物のおすすめ色柄
草木の彩が少なくなる冬は、着物で華やかさを演出することがポイントです。そのため色柄も華やかで、メリハリのあるものを選んでみましょう。赤や緑など、はっきりとした色使いの着物が良いでしょう。柄は松竹梅や菊、椿などがおすすめです。
まとめ
今回は着物と季節の関係から、着物や小物の種類、季節ごとにおすすめの色柄をご紹介しました。着物を特別な日に着ることが多くなったからこそ、本来の着分けに則ることで美しい着こなしが演出できます。今記事を参考に、季節に合わせた着物をセレクトしてみてください。
またレンタルきもの岡本では、季節に合わせた豊富な着物をご用意しております。フォーマルな場での着用はもちろん、観光地散策などさまざまなシーンにおける着物を、季節を加味してご提案いたします。着物のレンタルをご検討の方は、ぜひレンタルきもの岡本ご活用ください。
こちらの記事を書いたのは 正装用着物専門店 レンタルきもの岡本
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