色無地(いろむじ)の着物とは?着用シーンをご紹介
2022.7.7
着物
色無地はどんなときに着ていいのかわからないという声をよく聞きます。留袖や振袖などと違って着るシーンがはっきりしないと思われがちな色無地。実はどんな着物よりも着る機会が多く便利な着物なのです。色無地を着用できるシーンごとの紋や帯の合わせ方などをご紹介します。
色無地とは?
色無地とは白生地を黒以外の一色で染めた柄のない着物のこと。紋の数で格が変わり礼装にもカジュアルにも着られる便利な着物です。色無地は縮緬などの地紋のないタイプ、有職文様や流水などの地紋のあるタイプの2種類がある着物です。地紋の種類や紋の数で慶事や弔事に対応できる着物になります。
色無地はいつ着る?
色無地は柄がない着物なのでどんな帯を合わせるかで雰囲気が変わり、いつもの自分と違うコーディネートで冒険できます。普段なら挑戦しないような帯でも色無地と合わせることで華やかにモダンにさまざまな着こなしを楽しめますよ。
どの色をどんなシーンで
色無地を着用できるシーンは色によっても異なります。ピンクやオレンジなど暖色系の明るい色は慶事に、ブルーやグレーなど寒色系や茶系は弔事に着るのが一般的です。ブルー系でも明るい水色は弔事では着られませんが、慶事で着られます。ブルーなどの寒色系の色無地も明るい色の帯や大胆な柄の帯を合わせるなど工夫すると普段のおでかけ時に着られておしゃれです。
地紋の種類は
色無地は地紋ありと地紋なしの2種類があります。地紋のない色無地はカジュアルなお出かけ着、地紋ありの色無地は礼装用です。地紋の種類により慶事向き、慶事と弔事両方で着用できるものがあります。慶事は吉祥文様、亀甲や鶴など、慶事弔事両用の地紋は流水、有職文様などです。色がグレーや紺など弔事で着られる色でも地紋が慶事用の場合は、弔事で着ることはできません。
紋の数や種類は着用シーンで違う
色無地には家紋を入れる場合と家紋なしで着る場合があり、家紋を入れる場合は紋の数で着物の格が決まります。紋の格は上から染め抜き紋、染め紋、縫い紋、洒落紋があり、染め抜き紋は染める前の白生地を、紋の部分を残して染めた紋のことです。色無地の格は染め抜き紋の五つ紋が最も高い正礼装になります。
染め紋は色を使って染めた紋で、白以外の色がついた略紋となるため、正礼装には向きません。縫い紋は金糸や銀糸など色の糸を使って刺繍で入れた紋のことで、略礼装としても使えます。洒落紋は飾り紋ともよばれ、染め抜き紋や縫い紋の周りに花などの刺繍を入れた紋のことです。家紋を入れず、花など好きな柄を紋のように刺繍する洒落紋もあります。
入れる紋の種類は地域で異なる場合があります。嫁いだ先の家紋ではなく、女紋という母方の紋を受け継ぐ地域もありますので注意が必要です。
五つ紋、三つ紋、一つ紋を着るとき
五つ紋は背縫いの上に1つ、左右の胸に1つずつ、両袖の後ろ側に1つずつ紋が入った最も格の高い着物になります。背縫いの上に入れられた紋は背紋、左右の胸の紋は抱き紋、両袖の紋は袖紋です。三つ紋は胸の紋がなく、背紋と袖紋が入っています。
五つ紋は正礼装で着用し、色無地の他に五つ紋が用いられているのは慶事で着る黒留袖、色留袖、弔事で着る喪服です。三つ紋は準礼装で着られる色無地、色留袖、訪問着などがあり、背紋のみ入っている一つ紋は、セミフォーマルとして着られます。
紋なし、洒落紋を着るとき
紋を入れていない色無地はカジュアルなシーンで着られます。
シンプルな色無地に洒落紋を入れると華やかさが加わりますね。
観劇や食事に行くときのお出かけ着に洒落紋のある色無地は、格もありながらカジュアルにも着られて便利です。
染め抜き紋や縫い紋に刺繍を入れた飾り紋は、食事会や気軽なパーティーなどに着用できます。
色無地を着るのはこんなとき
色無地は汎用性が高い着物のため、さまざまなシーンで着られています。紋の数を変えるとフォーマルからカジュアルまで対応できますよ。
色や紋の入れ方は一般的なものを記載しています。地域差もありますので、慶事や弔事はその土地のしきたりに合わせた着方をしましょう。
結婚式のおよばれ
結婚式に出席する場合は明るい華やかな色の色無地を着ます。親族として結婚式に参列する場合は五つ紋か三つ紋で、友人や遠い親戚は一つ紋を着用するといいでしょう。金糸銀糸を使った礼装用の袋帯を締め、バッグや草履などは礼装用の小物を合わせます。
入学式や卒業式
入学式や卒業式に保護者として出席するときは明るくやさしい色の色無地を選びましょう。一つ紋を入れると格が上がりセミフォーマルとして着られますが、最近では紋のない色無地を着る方もいらっしゃいます。セミフォーマル用の帯を合わせると式典への出席にぴったりの装いになりますね。
法事、通夜
弔事では正礼装の五つ紋で、紺やグレーなど暗い色を着用します。慶事の地紋が入っている色無地は弔事には着用できません。弔事用の色無地を色喪服と呼ぶこともありますので、帯やバッグなどは喪服に準じた小物を合わせます。地域により違う場合があるため、地域のしきたりに合わせましょう。
お茶会などお稽古事
正式なお茶会には三つ紋や一つ紋の色無地を着用し袋帯を合わせます。普段のお茶会では一つ紋に袋帯を合わせましょう。お稽古には紋のない色無地を着用し、名古屋帯を合わせる方が多いようです。
食事会や観劇
おしゃれ着として色無地を着るときは、紋なしで自由な着こなしが楽しめます。飾り紋をつけてルールにとらわれないコーディネートもいいでしょう。おしゃれ用袋帯や名古屋帯を合わせて、こなれ感を演出しても素敵です。
顔合わせの挨拶など
結婚の際に両家の顔合わせをする場合にも色無地を着用します。一つ紋か紋のない色無地がふさわしいでしょう。新婦も母親も色無地を着用できます。最近見られる顔合わせと結納を兼ねた略式結納の場合に色無地を着用することもあるようです。
色無地に合わせる帯は
慶事での五つ紋の正礼装には金糸や銀糸を使った華やかな帯を締めます。弔事では黒喪服と同じ黒の帯を締めますが、略式の場合はグレーや紫などの地味な色の帯を合わせましょう。
紋のない色無地などおしゃれ着には、さまざまなデザインの帯をコーディネートすることができますよ。小紋や紬などの普段着のように染の名古屋帯や、半幅帯でカジュアルに合わせてもおしゃれな着こなしになります。染の帯に織の帯、大胆な柄の帯を合わせて帯をメインにしたコーディネートも楽しめますね。
年代別着こなしのコツ
年代ごとに色無地を着るシーンは変わってきます。色や帯、小物など年代に合わせたコーディネートで色無地を長く楽しめますね。
20代や30代は子供のお宮参りや入園式、卒園式に明るいピンクやクリーム色などの色無地を着ましょう。袋帯を二重太鼓結びにしてお祝いの気持ちを表す着こなしをします。40代で入学式や卒業式に出席するときは少し落ち着いたラベンダーや薄いブルーなども素敵です。
50代では親族や、職場の同僚の結婚式に招待されることが多くあるかもしれません。落ち着いた明るめの色の色無地に礼装用の袋帯で喜びを表しましょう。50代以上になると顔映りのいいピンクも人気です。お子さんやお孫さんのお祝い事にも着られますね。
60代では落ち着いたパステルカラーなど、顔映りの良いものを選びます。普段着としても着やすい色無地では、初めての色や柄の帯に挑戦してみましょう。さまざまな色の色無地を着こなせるようになると、いくつになっても新しい自分を発見でき楽しくなりますね。
まとめ
色無地は正礼装からカジュアルなお出かけ着まで、さまざまなシーンで着られるとても便利な着物です。慶弔事や節目のイベント、食事会など帯の合わせ方や紋の入れ方、バッグなどの小物のコーディネート次第で年代を問わず着られます。イベントごとや年齢に合わせた色を選ぶのも楽しそうですね。洋服のようにコーディネートが楽しくなる色無地に挑戦してみませんか?レンタル着物OKAMOTOでは、シーンに合わせてコーディネート可能な着物を豊富にご用意しています。ぜひご覧ください。
こちらの記事を書いたのは 正装用着物専門店 レンタルきもの岡本
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