浴衣と夏着物の違いとは?見分け方や着用シーンを解説
2023.5.11
着物
夏が近づくと浴衣や夏着物でお出かけしたい気持ちが高まりますね。
夏祭りや花火大会などには浴衣姿が似合います。
夏のお出かけに着る着物と浴衣の違いはご存知ですか?
今回は浴衣と夏着物の見分け方、それぞれの着物の着用シーンについて解説します。
浴衣と夏着物の違い
浴衣と夏着物、一見すると見分けがつきませんが異なる部分は多くあります。
浴衣と夏着物の主な違いは次の通りです。
また、浴衣と夏着物ではその変遷にも違いがあります。
その違いを詳しく説明します。
浴衣とは
浴衣は主に綿の生地で仕立てられた、最も格が下のカジュアルな着物です。
もともと平安時代の沐浴時に着られていた「湯帷子(ゆかたびら)」が由来といわれています。
その頃の入浴スタイルには蒸し風呂形式と行水形式がありました。
蒸し風呂に入る際のやけど防止や汗を取るために着られていたのが湯帷子です。
安土桃山時代になると、湯上り時に肌の水分を取るため着られるようになりました。
江戸時代に入ってからも浴衣は湯上りに着ていましたが、やがて町人文化が栄えるようになりお出かけ着としての浴衣になったそうです。
今でも夏のお出かけ着として人気ですが、もともとは7〜8月の盛夏に楽しむ着物でした。
最近は6月から9月上旬頃まで暑い時期が続くため、浴衣でのお出かけも長く楽しめますね。
夏着物とは
夏着物とは夏の季節に着る裏地のない「単衣(ひとえ)」という着物を指します。
6月1日と10月1日の衣替えを機に、裏地のない単衣と裏地のついた袷とを入れ替えます。
衣替えのしきたりとして6月1日から9月30日までは単衣の夏着物、10月1日から5月31日までは袷を着ると決められていました。
現在では衣替えを目安とし、気候に合わせて単衣や袷の着物を自由に選ぶ方が増えています。
ただし、お茶会など厳格なしきたりを重んじる世界では、現在でも衣替えが守られています。
夏着物の中でも6月と9月に着る単衣、7月から8月の盛夏にかけて着る薄物に分けられます。
単衣の着物は袷の表地と同じ生地を用い、裏地をつけずに仕立てる着物です。
留袖や訪問着など礼装用から、小紋や紬など普段着用の着物も単衣仕立てにできます。
また、薄物には絽や紗、麻で織られた上布などがあります。
薄物は生地が薄く、透け感があるのが特徴です。
フォーマルな席で着る留袖や訪問着などは絽で、カジュアルな夏のお出かけ着は絽や紗、麻で仕立てます。
浴衣と夏着物の見分け方
浴衣と夏着物は素材や仕立て方、着付け方などが異なります。
夏着物には長襦袢を着用しますが、浴衣は長襦袢を着用せず肌着の上に着ます。
浴衣と夏着物は着用できるシーンが異なりますので、素材や仕立てなどによる見分け方を覚えておくといいでしょう。
素材
浴衣の素材には綿が多く使われています。
綿の他にも綿麻、麻、ポリエステルなどの浴衣があります。
綿麻とは綿と麻で交織した生地のことです。
綿と麻を混合して織ることで2つの繊維の良いところが組み合わされ、吸湿性や通気性がすぐれた発色のよい生地になります。
麻の質感がありながらシワになりにくいと最近人気の浴衣地です。
単衣や薄物の夏着物には主に絹、その他に麻や綿などが使われます。
絹を使った薄物ではフォーマルにもカジュアルにも着用する絽、普段のお出かけ着に使われる紗があります。
麻や綿はカジュアルなお出かけにふさわしい夏着物です。
絽の生地は、一定の間隔で絽目というすきまを作って織りあげられています。
絽目の違いによって「三本絽」や「五本絽」、「竪絽(たてろ)」などがあります。
紗は、すき間ができるように粗く織る「もじり織」で織り上げられた、通気性の良い生地です。
また、薄物の麻では上布(じょうふ)や縮(ちぢみ)という生地がよく着られています。
沖縄県宮古島の宮古上布、新潟県小千谷市の小千谷縮などが有名ですね。
絽や紗、上布など真夏に着る薄物は粗く織り上げられているため、風通しがよく涼しく着られます。
仕立て
浴衣と夏着物の仕立て方は似ていますが異なる点もあります。
夏着物の衿は、広衿という3寸の幅で仕立てます。
広衿とは首の後ろで半分に折り、胸元は体型に合わせ衿幅を調節できる衿のことです。
一方、浴衣のバチ衿はすでに半分の状態で仕立ててあるため、着付けるときにもそのまま着られます。
また、手縫いの場合、夏着物は背縫いを補強するため背伏せ布をつけて仕立てているものが多くあります。
浴衣には背伏せ布をつけることはほとんどありません。
ただ絞りの浴衣などには補強のため背伏せ布を付けている場合もあります。
さらに、浴衣と夏着物では、脇縫いなど縫い代の処理も異なります。
夏着物では縫い代を折り込み三つ折りぐけ、浴衣は縫い代を折らずに耳ぐけにします。
浴衣と夏着物の着用シーンは
浴衣と夏着物では着るシーンが異なります。
浴衣は着物の中でもっとも格が低く、カジュアルなシーンでしか着用できません。
夏着物はフォーマルからカジュアルまで、さまざまなシーンで着る着物が含まれています。
浴衣はカジュアルに
浴衣は普段の気軽なお出かけに着ます。
夏祭りや花火大会に浴衣でお出かけされる方は多いでしょう。
浴衣は長襦袢を着用せず肌着の上に直接着るため、夏着物よりも簡単に着付けができます。
また帯の形ができ上がった作り帯などを使うと、着付けもさらに簡単です。
着付けが簡単で重ねる枚数も少なく軽いため、着物を着慣れていない方でも気軽に着用できます。
浴衣デートで街歩きやビアガーデン、カジュアルな食事会など女子会も浴衣で集まるとさらに楽しめそうです。
最近はレースの小物を合わせたり、帯飾りをプラスしたり、浴衣をアレンジできるアイテムが増えています。
格を気にする必要がないカジュアルな浴衣を、洋服のように自由なコーディネートで楽しみましょう。
夏着物はフォーマルなシーンでも
結婚式や祝賀会などフォーマルなシーンでは絽や単衣の着物を着用します。
盛夏の結婚式のお呼ばれなどでは、そのときの立場に合わせて絽の留袖や訪問着などの着物を選びます。
初夏や晩夏には単衣の留袖や訪問着などを選ぶといいでしょう。
また、真夏に成人式を行う地域では絽の振袖を着ます。
薄物の中で紗や麻などは格が下になり、礼装では着用できません。
夏のカジュアルなお出かけには絽や紗、麻などでさわやかなコーディネートを楽しみましょう。
初夏には単衣のカジュアルな小紋や紬などを着用します。
お食事会や街歩きにも夏着物はおすすめですよ。
浴衣を夏着物風にコーディネート
夏着物風に着られる浴衣には、紅梅織りで織られた綿紅梅(めんこうばい)という生地があります。
紅梅織りは細い地糸に一定の間隔で太い糸を織り込んだ織り方で、生地に格子状の凹凸ができているのが特徴です。
細い地糸に絹を使って織り上げたものを絹紅梅、細い糸、太い糸、どちらも綿で織り上げたものが綿紅梅です。
伝統のある技法により職人が織り上げた綿紅梅と絹紅梅は、浴衣の中でも高級とされています。
浴衣でありながら、夏着物のように着られるハイブリッドな浴衣です。
薄物のように透け感があるため、夏着物風に長襦袢をコーディネートして夏物の帯を合わせましょう。
帯締めや帯揚げをレースにしたり、ガラスなど透け感のある帯留めを合わせたり、夏らしいコーディネートが楽しめますね。
夏着物をレンタルして夏を楽しもう
浴衣よりも少し大人っぽく、夏のお出かけにぴったりの夏着物。
涼やかな色や柄の夏着物なら洋服感覚のコーディネートで着られます。
小物のアレンジしだいで、さまざまな着こなしが楽しめ普段と違う自分になれそうです。
いつもと違う自分を見つけたいときには、レンタルの夏着物をおすすめします。
小物などもすべてそろうレンタルなら最新のトレンドをおさえたコーディネートも楽しめますよ。
レンタル着物岡本では、プロの着付けまでセットになっておりますので、夏着物を着たくなったら、ぜひ一度「レンタル着物岡本」にご相談くださいね。
こちらの記事を書いたのは 正装用着物専門店 レンタルきもの岡本
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