そもそも着物とは?歴史やルール、マナーをご紹介!
2019.10.10
婚礼
歴史的な日本特有の衣装といえば着物。結婚式や成人式にはお馴染みとなっている着物ですが、その歴史は平安時代にまで遡り、長い歴史によって形作られていきました。それだけ歴史がある着物ですので、そのルールやマナーも様々です。
ここでは、着物の概要から歴史、着方のルール、シーン別のマナーについて、ご紹介していきます。日本の長い伝統が育んだ着物ですので、その歴史やルール、マナーをしっかり理解し、着物を楽しんでください。
着物とは
着物とは、その名の通り着る物を意味しており、衣服と同意です。私たちに馴染みのある衣服といえば洋服が挙げられますが、洋服はあくまでも西洋の文化を取り入れた衣服ということで用いられています。それに対して、着物は日本の衣装であり、和服とも呼ばれています。
今でこそ着物や和服といえば、日本特有の衣服として認識されており洋服と区別して用いられていますが、明治時代以前の日本ではあくまでも基本の衣服が着物や和服でした。
現代こそWebサイトやSNSをはじめとしたインターネットを介して、多様な文化を身近に感じることができますが、そもそも当時はそれらを分ける必要性がなかったのでしょう。
しかし、現在は国外の方々にとっても着物は認知されており、海外では「kimono」と称されます。これは日本特有の文化を世界的に賞賛されている証でもあるのでしょう。というのも、日本には四季があり、その時々に応じて美しく変化する日本の自然は世界的に見ても稀で、それが反映された着物というのは日本人に限らず人間を惹きつける存在なのでしょう。実際、「粋と雅」「侘び寂び」という表現に代表されるように、日本独自の美的センスや文化は、芸術作品や工芸品に代表されるように世界的にも高い評価を得ています。また、日本人特有の細部までこだわり抜かれたクラフトマンシップは世界的に見ても、賞賛の声が多く寄せられています。
日本人として、着物や和服が世界から認知されることは光栄なことかもしれません。しかし、日本人であってもその歴史やルールやマナーを正確に認識していない方が多いのが現状です。実際、認識していなくとも、着物や和服を楽しむことはできます。しかし、その歴史やルール、マナーを認識することで、一層着物や和服を楽しむことができるようになるはずです。
着物の歴史
まず、着物の前に衣服の起源を辿ってみると、奈良時代(710~794年)が起源と言われています。奈良時代は、上下の分かれたズボン型の衣服をはじめとして、裾野広がったスカート型の衣服やワンピース型の衣服が主流でした。
それから、時代は平安時代(794~1192年)に移り変わり、現代のような形状をした着物になっていきました。つまり、着物の起源は平安時代と言われています。平安時代になると、寒い時期には重ね着ができ、暑い時には麻をはじめとした風通しの良い素材が使われるようになりました。これによって、以前よりも快適に体温調整ができる「衣服」としての意味合いを高めっていったことが伺えます。また、着用者の体の線に合うように、生地を直線に裁ち縫い合わせる「直線裁ち」の手法で着物を作るようになっていきました。これによって容易に畳むことができるようになり、一層着物は日本人の生活の中に溶け込むように普及していきました。
重ね着や風通しといったように、もともとは快適な生活を送るために着物は形作られていったわけですが、次第に色合いを重んじるようになり、それが現代にも引き継がれる美的な彩りを構築していったのです。特に女性はその彩りが重視されました。さらに、色使いによって当時の身分制度を反映させた政治的な意味合いが込められるようにもなっていきました。
それから、鎌倉時代(1192~1338年)、室町時代(1338~1573年)にかけては武士の勢力が増してきたことによって、男女ともに彩りのある着物に変化していきました。当時の武将は当人の個性が象徴される着物を身にまとい、戦地の赴いたとされています。
江戸時代(1603~1868年)に入ると、裃(かみしも)と呼ばれる麻生地を使った上着に袴(はかま)を下半身に身に付けるようになっていきました。これは徳川幕府によって全国各地の大名に領地が与えられ行政を任されるようになったという背景があります。それによって、武士の正装として着物が用いられるようになっていったのです。また、武家文化の発展によって、武士の格式の象徴としても着物自体が美術品と考えられるようにもなりました。さらに、価値の高まった着物は家財としても認識され、親から子へと伝わっていく伝統的なものとして認識されるようになっていったのです。
そして、明治時代(1868~1912年)になると幕府は西洋文化を推奨するようになり、その象徴として洋服の着用が進みました。これによって、一度は洋服の影に身を潜めた着物でしたが、現代は再びその文化的背景が見直されるようになり、特に成人式や結婚式といったイベントの際には着用されるようになっています。
着物の着方の手順
ご紹介したように、再び着用されるようになってきている着物ですが、その着方の手順はなかなか認識されていないのが現状です。ここでは基本的な着物のルールについて見ていきましょう。主に着物の着方は5つのステップで構成されています。
①着物用肌着の着用
着物を着用する際には一般的な下着ではなく、和服専用の凹凸の少ない肌着を身につけます。これは着物の持っている滑らかな線を効果的に表現することに役立ちます。
②タオルや布で補正する
直線裁ちで出来ている着物は洋服とは異なり、体の凹凸によってシワや緩みが出てきてしまう可能性があります。これを防ぎ美しい状態を保つために、タオルや布を体に巻きつけ補正していくステップがあります。
③長襦袢(ながじゅばん)を着用
着物において、長襦袢は肌着の上に着用する下着としての役割を持っています。長襦袢を着用することで、衿合わせや抜き具合で美しい線を表現します。
④着物を着用
ここまできて、ようやく着物そのものを身につけていきます。背中の真ん中が背骨に当たっていることを確認し、腰部分にあたるおはしょりと上前のおくみ線がまっすぐになるように調整していきます。
⑤帯を締める
着物そのものを着用することができたら、帯を結んでいきます。帯の結び方は「お太鼓結び」「文庫結び」といったように様々な種類があります。結ぶことができたら、帯揚げ、帯締めをつけて完了です。
着物着用時のマナー
伝統的な着物だけに、そのマナーも厳格なものがありますので、ここでは4つのマナーについて確認しておきましょう。
①食事や乾杯の際
結婚式や成人式で着用が多い着物は食事のシーンでも着物を着用していることが多いでしょう。その際のマナーとしては、袖を食事や飲み物につけないようにすることです。物を取る際には、袖を押さえ、袖が他の食事や飲み物につかないように注意しましょう。
②お手洗いの際
最も悩ましいのがお手洗いの際でしょう。着方でご紹介したように、着物は上から着物・長襦袢・肌着の順になっていますので、上から順にめくり上げるようにして、帯に挟んでいきます。
③椅子に座る際
結婚式や成人式では椅子に座るシーンが多いです。座る際には、お尻の布が突っ張らないようにするため周辺を引き上げてから座りましょう。また、裾や袖が地面居着かないようにすることもマナーです。
④階段を昇り降りする際
階段を昇り降りする際には裾を踏まないようにするため、右手で裾を持ち上げて左手で袖を持つようにしておきましょう。
まとめ
ここでは、着物の概要からその歴史やルール、マナーについてご紹介してきました。平安時代から培われた日本の歴史が育んだ世界に誇れる産物ですので、今回ご紹介した点を確認して着物をレンタルなどして楽しんでください。
こちらの記事を書いたのは 正装用着物専門店 レンタルきもの岡本
- 京都のレンタル着物発祥お店、レンタル着物岡本は、京都市内の観光地近く(祇園、八坂神社、清水寺、伏見稲荷大社など)に7 店舗の大型店舗をもつレンタル着物専門店、成人式や結婚式、七五三など様々な行事でお気軽にご利用頂けます。